夜中に子どもが突然泣き叫んだり、けいれんのような動きをしたりするとき、「これは夜驚症なのか、それともてんかんなのか」と判断がつかずに不安を感じている親御さんは多いのではないでしょうか。
見た目が似ているだけに、どちらなのかわからないまま様子を見続けることへの不安も大きいはずです。
夜驚症とてんかんの違いを正しく知ることで、適切なタイミングで受診できるようになります。
夜驚症とてんかんはどう違うの?
夜驚症とてんかんは、どちらも睡眠中に突然起きる症状ですが、原因・メカニズム・特徴がまったく異なる別の状態です。
夜驚症は、深いノンレム睡眠から次の睡眠段階へ移行するときに脳が中途半端に覚醒することで起きる睡眠障害です。
意識はありませんが、脳の異常な電気活動が原因ではなく、睡眠の切り替えの不安定さによって起きます。
成長とともに睡眠のメカニズムが成熟するにつれて自然に改善し、多くの場合6〜7歳ごろまでに落ち着いていきます。
特別な治療は必要なく、睡眠環境と生活リズムを整えることが主な対策になります。
一方、てんかんは脳の神経細胞が異常な電気的興奮を起こすことで発作が生じる神経疾患です。
睡眠中にも覚醒中にも起きる可能性があり、夜驚症と違って脳の病的な状態が原因になっています。
てんかんは成長とともに自然に消えることもありますが、適切な診断と治療が必要なケースが多くあります。
放置することで発作が繰り返され、脳への影響が懸念されるケースもあるため、早期の診断が重要です。
「どちらも夜中に突然泣き叫んだり暴れたりする」という見た目の共通点が、混同される最大の原因です。
しかし、その背景にある原因・発作のパターン・翌朝の状態など、詳しく見ると明確な違いがあります。
このように、夜驚症とてんかんは見た目が似ていますが、原因も治療の必要性もまったく異なる別の状態です。
次の段落では、具体的な見分け方のポイントを詳しく解説します。
夜驚症とてんかんを見分けるポイント
夜驚症とてんかんを見分ける最も重要なポイントは、発作のタイミング・持続時間・身体症状・翌朝の状態の4つです。
どちらも夜中に突然起きるため、目の前で見ているだけでは判断が難しいことがあります。
以下の特徴を知っておくことで、「これは夜驚症かもしれない」「てんかんを疑うべきかもしれない」という判断の手がかりになります。
発作が起きるタイミング
夜驚症は、就寝から1〜3時間後(深いノンレム睡眠の時間帯)に起きることがほとんどです。
一晩に1回、就寝後の早い時間帯に起きるというパターンが典型的です。
てんかんの発作は、就寝直後・明け方・睡眠のどの段階でも起きる可能性があり、一晩に複数回起きることもあります。
「就寝から1〜3時間後に決まって起きる」なら夜驚症の可能性が高く、「時間帯がバラバラ」「一晩に何度も起きる」ならてんかんの可能性を視野に入れることが大切です。
発作の様子と身体症状
夜驚症の発作中は、泣き叫ぶ・暴れる・汗をかくなどの症状が見られますが、体の動きは比較的自然な動きに近いです。
一方、てんかんの発作中は、より特徴的な体の動きが見られることが多いです。
- 体が強く硬直した後にガクガクと規則的に震える
- 体の一部(片腕・片側の顔など)だけがぴくぴくする
- 目が片方に偏る・白目になる
- 口から泡が出る・よだれが増える
- 無意識に口をもごもごさせる・手を繰り返し動かす
これらの症状はてんかんを強く疑うサインです。
夜驚症では基本的に「全身をでたらめに動かす」のに対し、てんかんでは「特定の部位が規則的に動く」という違いがあることも、見分けのポイントになります。
声かけへの反応
夜驚症の発作中は、目が開いていても意識がなく、名前を呼んでも反応しません。
てんかんの発作中も多くの場合、声かけへの反応が乏しいですが、発作後に混乱・ぐったりした状態になることが多く、夜驚症と比べて発作後の回復に時間がかかることがあります。
翌朝の記憶と発作後の状態
夜驚症の最大の特徴は「翌朝に記憶がまったくない」ことです。
どんなに激しい発作であっても、子どもは翌朝に何も覚えていません。
発作が収まるとそのまま自然に眠りに戻り、翌朝は何事もなかったように目覚めます。
てんかんの場合も翌朝の記憶がないことがありますが、発作後に強い疲労感・頭痛・意識の混乱(発作後もうろう状態)が残ることが夜驚症より多い傾向があります。
「発作の後、ぐったりとして回復に時間がかかる」「頭が痛いと訴える」という場合は、てんかんを疑うサインとして受け取ることが大切です。
発作の繰り返し方のパターン
夜驚症は、毎回まったく同じパターンで起きるわけではなく、疲れている日やストレスがある日に増える傾向があります。
てんかんの発作は、同じパターンがより機械的に繰り返される傾向があります。
「毎晩ほぼ同じ時間に、ほぼ同じ動きで、ほぼ同じ長さの発作が起きる」というパターンは、てんかんを疑うサインのひとつです。
このように、夜驚症とてんかんの見分けは、発作のタイミング・身体症状・翌朝の記憶と状態・パターンの一貫性を観察することが鍵になります。
次の段落では、夜驚症に似たてんかんの種類と症状を解説します。
夜驚症に似たてんかんの種類と症状
夜驚症と特に混同されやすいてんかんは、睡眠中に起きやすい「前頭葉てんかん」と「側頭葉てんかん」、そして小児に多い「良性ローランドてんかん」です。
これらは睡眠中に激しい体の動きや泣き叫びを伴うことがあり、夜驚症との見分けが難しいケースがあります。
前頭葉てんかん
前頭葉てんかんは、睡眠中に起きやすく、夜驚症と最も混同されやすいてんかんのひとつです。
発作中に突然起き上がる・泣き叫ぶ・体をよじる・バタバタと手足を動かすなど、夜驚症に非常に似た症状が現れることがあります。
夜驚症との主な違いは以下の点です。
- 発作時間が短い(通常30秒〜2分程度)
- 一晩に複数回起きることが多い
- 就寝後すぐや明け方にも起きることがある
- 発作後に完全に目が覚めることがある
- 毎晩ほぼ同じパターンで繰り返す
「毎晩同じ時間に同じパターンで短時間の発作が繰り返される」という場合は、夜驚症より前頭葉てんかんを疑うことが大切です。
前頭葉てんかんは、通常の脳波検査では異常が出にくいことがあり、診断に専門的な検査が必要なケースがあります。
側頭葉てんかん
側頭葉てんかんは、恐怖感・混乱・自動症(無意識の繰り返し動作)などを伴うことがあります。
発作中に口をもごもごさせる・手を繰り返し動かす・意味のない言葉を繰り返すなどの行動が見られることがあります。
夜驚症と異なり、発作後に疲労感や混乱が残ることが多く、発作中に意識が一部保たれることもあります。
「発作中に何かに怯えているように見える」「口の動きが特徴的」という場合は、側頭葉てんかんを視野に入れて受診することが大切です。
良性ローランドてんかん(BECTS)
小児に多く見られるてんかんで、睡眠中や覚醒時に顔・口・のどの筋肉がけいれんする症状が特徴です。
「よだれが増える」「口の中でぐるぐる音がする」「話しにくくなる」などの症状が、睡眠中や目覚めた直後に現れることがあります。
多くは思春期までに自然に消失する予後の良いてんかんですが、適切な診断と経過観察が必要です。
夜驚症との違いは、発作が主に顔・口周辺に限られており、体全体が暴れるような症状は少ない点です。
このように、夜驚症に似たてんかんは睡眠中に起きやすいものが複数あり、発作のパターンの細かな違いを観察することが見分けの鍵になります。
次の段落では、てんかんを疑うときの受診の目安を解説します。
てんかんを疑うときの受診の目安
以下のサインがある場合は、夜驚症ではなくてんかんを疑い、早めに小児科または小児神経科への受診が必要です。
「様子を見よう」と先延ばしにすることで、適切な診断と治療が遅れてしまうことがあります。
てんかんは早期に診断・治療を開始することで、発作のコントロールや日常生活への影響を最小限に抑えられることが多いです。
てんかんを疑うサイン
- 体が強く硬直した後、規則的にガクガクと震える
- 体の一部(片腕・片側の顔など)だけがぴくぴくする
- 目が片方に偏る・白目になる
- 口から泡が出る・よだれが増える
- 発作が30秒〜2分程度と短く一晩に複数回起きる
- 就寝直後や明け方など時間帯がバラバラに起きる
- 発作後に頭痛・強い疲労感・意識の混乱が残る
- 発作中や目覚め直後に口をもごもごさせる動きがある
- 覚醒中にも似たような症状が起きることがある
- 発作のパターンが毎回ほぼ同じで機械的に繰り返される
これらのサインが1つでも当てはまる場合は、早めに受診することが大切です。
特に「体が硬直してからけいれんする」「目が片方に偏る」は、緊急性が高いサインであるため、早急に受診しましょう。
受診時に伝えるべき情報
受診の際は、以下の情報を整理して医師に伝えることで、診断がスムーズになります。
- 発作が初めて起きた時期
- 発作の頻度(週何回・月何回)
- 発作が起きる時間帯(就寝何時間後か)
- 発作の持続時間
- 発作中の体の動き・目の様子・声の出方
- 発作後の状態(すぐ眠るか・ぐったりするか・混乱するか)
- 翌朝に記憶があるかどうか
- 家族に夜驚症・てんかんの経験があるかどうか
発作中の動画撮影が受診の助けになる
てんかんか夜驚症かを判断するために、発作中の様子を動画で記録しておくことが非常に有効です。
「どんな動きをしていたか」「何分続いたか」「目はどうなっていたか」を医師が映像で確認できると、診断がスムーズになります。
発作中はパニックになりがちですが、安全を確保したうえでスマートフォンで記録する習慣をつけておきましょう。
相談できる主な窓口
- かかりつけの小児科
- 小児神経科・神経内科
- 睡眠外来
てんかんの確定診断には脳波検査が必要であり、小児科または小児神経科での検査を受けることが必要です。
「受診するほどのことかどうか迷う」という場合も、まずかかりつけの小児科に相談することで、次のステップが見えてきます。
てんかんを疑うサインがある場合は、早めに専門家へ相談することがその子のためになります。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



