躾とは子どもに何を教えることなのかと、正確な意味を理解しないまま「叱ること」や「禁止すること」だと思い込んでいる親御さんは少なくありません。
「厳しすぎるのではないか」「甘すぎるのではないか」と迷いながら日々関わっている方も多いはずです。
本来の意味を正しく知ることで、叱ることへの罪悪感が消え、関わり方に迷わなくなります。
「躾とは子どもに何を教えることか」という問いに正面から答えることが、子育ての迷いを減らす最初の一歩になります。
躾とは子どもに何を教えることなの?
躾とは子どもが社会の中で自律して生きていくために必要な行動習慣・マナー・ルールを、愛情をもって継続的に教えることです。
「躾」という漢字は、「身」と「美しい」という字で構成されており、身のふるまいを美しくするという意味を持っています。
また、「しつけ」という言葉の語源は、着物を縫う際に形を整えるために仮縫いをする「仕付け糸」から来ているとされています。
着物を仕立てるときに、本縫いの前に形を整えるための仮の糸を入れる。そして、着物が完成したら仕付け糸は抜かれます。
つまり、本来の躾の意味は「子どもが自立したときに外れるべき補助」であり、いつまでも締め付けることではなく、自分で動けるようになるための一時的なサポートです。
厚生労働省は2020年のガイドラインで「しつけとは、子ども自身を伸ばし、社会において自律できるよう、子どもをサポートする行為」と定義しています。
「罰を与えること」「禁止すること」ではなく、子どもが自分でできるようにサポートすることが躾の本質です。
躾が目指すゴールは「親に言われなくてもできる子ども」であり、親への依存ではなく子どもの自律を育てることにあります。
このように、躾とは子どもが社会の中で自律して生きていくために必要な行動習慣・マナー・ルールを、愛情をもって継続的に教えることです。
次の段落では、躾の本来の目的と叱ることの違いを解説します。
躾の本来の目的と叱ることの違い
躾の本来の目的は「子どもを自律させること」であり、叱ることはその手段のひとつに過ぎず、目的そのものではありません。
「叱る=躾」という誤解が、多くの親を追い詰める原因になっています。
叱ることは躾の一部にはなり得ますが、叱ること自体が躾の本質ではありません。
躾と叱ることの3つの違い
目的の違い
躾の目的は「子どもが自分でできるようになること」です。
叱ることの目的は「今この瞬間の行動を止めること・変えること」です。
叱ることで行動が止まっても、子どもが「なぜダメなのか」を理解していなければ、躾にはなりません。
「叱って終わり」ではなく、「なぜダメなのかを理解させること」が躾として機能します。
効果が続く期間の違い
叱ることは短期的には行動を止める効果がありますが、親がいない場面では行動が止まりません。
躾は長期的に「一人でいるときでも同じ行動ができる」という自律を育てます。
「親に見られていないときでも同じことができるか」が、躾が機能しているかどうかの判断基準になります。
子どもへの影響の違い
感情的な叱り方が続くと、子どもは「叱られるから行動を変える」という外的な動機しか育たず、自己肯定感が傷つきやすくなります。
一方、理由を丁寧に伝える躾は、「これは正しい・正しくない」という内側からの判断力を育てます。
叱ることが必要な場面と不要な場面
叱ることが必要な場面は、安全に関わること・他者を傷つけること・社会的なルールを大きく逸脱することの3つに絞ることが大切です。
「全部叱る」のではなく「叱る場面を絞る」ことで、叱ることの効果が高まります。
逆に、失敗した・うまくできなかった・子ども同士のトラブルという場面では、叱るより「次はどうすればいいか」を一緒に考えることが躾として効果的です。
このように、躾の本来の目的は子どもを自律させることであり、叱ることはその手段のひとつに過ぎません。
次の段落では、年齢別の子どもに伝わる躾の関わり方を解説します。
年齢別・子どもに伝わる躾の関わり方
年齢によって子どもの脳の発達・言語理解・感情コントロールの力が大きく異なるため、発達段階に合った躾の関わり方を選ぶことが、効果を生む最大のポイントです。
「何を伝えるか」と同じくらい「どの年齢で・どう伝えるか」が、躾の効果を左右します。
0〜1歳:安心と生活リズムが躾の土台
この時期の躾は「叱ること」ではなく、安心感・生活リズム・信頼関係を育てることです。
泣いたら応える・生活リズムを整える・スキンシップを十分にとるという関わりが、この時期の最も重要な躾の土台になります。
「いつも応えてもらえる」という安心感が、後の躾を受け入れる脳の土台を作ります。
脳科学的に見ると、愛着形成が安定している子どもほど、就学後のルール理解・社会性・自己コントロール力が高い傾向があることが研究で示されています。
1歳半〜2歳:行動で示し・代替行動を教える
この時期は言語理解が始まりますが、「ダメ」の理由を論理的に理解する力はまだありません。
「ダメ」と言うだけでなく「こうしようね」という代替行動をセットで示すことが、この時期の効果的な躾の基本です。
危険なことへの制止は、静かにその場から離す・別のものに注意を向けるという方法が発達に合っています。
この時期の前頭前野はまだほぼ未発達であり、「わかっていてもやめられない」状態です。叱って改善することを期待するより、環境を変えることが最も効果的な躾になります。
3〜5歳:理由を短く伝え・感情に名前をつける
言語が発達し、「なぜダメなのか」という短い理由が届くようになります。
「お友達が痛いから叩いたらダメ」「みんなが使うものだから大切にしよう」という、理由をセットにした言葉かけが効果的です。
感情のコントロールがまだ未熟なこの時期は、叱るより「今どんな気持ちだった?」と感情を言語化する関わりが、自己コントロール力の発達を促します。
できたことを積極的に認める・「ありがとう」を伝えるという関わりが、この時期の躾を最も効果的にします。
6〜10歳:振り返りと自分で考える力を育てる
この時期は「なぜそのルールがあるのか」という本質的な意味を理解できるようになります。
失敗した後に「次はどうすればよかったかな」と一緒に振り返ることが、叱るより深い躾の効果をもたらします。
「あなたはどう思う?」という問いかけが、自分で判断する力を育てます。
この時期から「言われなくてもできる」という自律に向けて、徐々に親の関わりを減らしていくことが、躾のゴールに向けた重要なステップになります。
このように、年齢によって脳の発達・言語理解・感情コントロール力が大きく異なるため、発達段階に合った関わり方を選ぶことが躾の効果を生む最大のポイントです。
次の段落では、躾で気をつけたい親の言動と注意点を解説します。
躾で気をつけたい親の言動と注意点
躾で最も気をつけるべき親の言動は、人格を否定する言葉を使う・感情的に怒鳴る・対応がブレるという3つです。
これらは悪意からではなく、「ちゃんと伝えなければ」という親の真剣さから起きやすい行動です。
人格否定の言葉を使わない
「なんでそんな子なの」「ダメな子ね」「恥ずかしい」という言葉は、行動ではなく存在を否定します。
躾として伝えるべきは「その行動がよくない」であり、「あなたという人間がよくない」ではありません。
「○○したことはよくなかった」と行動に焦点を当てることが、自己肯定感を傷つけずに躾を伝える基本です。
人格を否定される体験が積み重なると、子どもは「自分はダメな存在だ」という思い込みを持ちやすくなり、チャレンジする力・失敗から立ち直る力が育ちにくくなります。
感情的に怒鳴らない
親が怒鳴ると、子どもの脳は「恐怖」を感じて防衛モードに入ります。
防衛モードに入った脳は、「なぜダメなのか」という情報を処理する余裕がなくなるため、怒鳴ることは躾として機能しにくくなります。
怒鳴りたくなったときほど、まず深呼吸して落ち着いてから伝えることが、躾の効果を最大化する最も基本的な姿勢です。
「声が大きいほど伝わる」のではなく、「落ち着いた低い声のほうが子どもに届く」という事実を知っておくことが大切です。
一貫性を持つ
「昨日はOKだったのに今日はダメ」という対応のブレが、子どもを最も混乱させます。
「これはダメ」と決めたことは、親の気分・体調・状況に関わらず一貫して伝え続けることが、ルールを子どもの中に定着させる最大のポイントです。
夫婦・祖父母など関わる大人全員で同じルールを共有することが、子どもの安心感とルールの定着につながります。
親自身が手本を見せる
子どもは親の言葉より親の行動をよく見ています。
「あいさつしなさい」と言いながら自分はしない・「片付けなさい」と言いながら散らかしているという矛盾が、躾への不信感を生みます。
「言葉で教える」と「行動で見せる」の両方が揃ったときに、躾は最も深く子どもの中に定着します。
このように、躾で気をつけるべき親の言動は人格否定の言葉・感情的な怒鳴り・対応のブレという3つであり、親自身が手本を見せることが最も効果的な躾になります。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |


