登園しぶりで「ママといたい」と泣く子への対応と分離不安について

登園しぶり

毎朝「ママといたい」「行きたくない」と泣いてしがみついてくる子どもに、どう対応すればいいのか悩んでいる親御さんは多いのではないでしょうか。

「こんなに泣かせてまで行かせることが正しいのか」「愛情不足なのかも」と自分を責めてしまっている方もいるはずです。

「ママといたい」という登園しぶりの本当の意味と正しい対応を知ることで、罪悪感を手放し、適切に向き合えるようになります。

スポンサーリンク

「ママといたい」と泣く登園しぶりはなぜ起きるの?

「ママといたい」と泣く登園しぶりは、愛着形成が正常に育っているからこそ起きる、健全な発達の現れです。

「ママといたい」という気持ちは、愛情不足や過保護の証拠ではなく、「自分はママに愛されている・守られている」という安心の土台があるからこそ出てくる感情です。

愛着心理学の観点では、親という「安全基地」に守られていると感じている子どもほど、安全基地から離れることへの不安が強く出ることがわかっています。

つまり、「ママといたい」と強く訴える子どもは、それだけ親との愛着がしっかり育っているということでもあります。

脳の発達という観点では、3〜5歳の子どもはまだ前頭前野が未発達であり、「今は嫌だけど、行けば楽しい」という先の見通しを持って感情をコントロールすることが難しい状態にあります。

「行きたくない」という今この瞬間の気持ちが最大化してしまい、「行けばいいことがある」という理性的な判断が追いつかない状態です。

また、ママと離れることへの不安(分離不安)は、1〜3歳ごろにピークを迎えますが、環境の変化・ストレス・体調不良などがきっかけで、4〜6歳以降でも強く出ることがあります。

入園・進級・長期休み明けなど、「いつもと違う」状況が引き金になって分離不安が再燃し、「ママといたい」という訴えとして現れます。

「愛情が足りないから」「甘やかしすぎたから」ではなく、「愛着がしっかり育っているから」という視点に立つことが、親自身の心の余裕と適切な対応につながります。

このように、「ママといたい」と泣く登園しぶりは、愛着形成が正常に育っている健全な発達の現れです。

次の段落では、「ママといたい」登園しぶりの特徴とよくある場面を詳しく解説します。

「ママといたい」登園しぶりの特徴とよくある場面

「ママといたい」という登園しぶりは、特定の原因がなく「ただ一緒にいたい」という分離不安から起きることが多く、理屈で解決しにくいのが特徴です。

「友達が嫌い」「先生が怖い」という具体的な原因がある登園しぶりと違い、「ただママといたい」という気持ちは感情的なものであるため、「幼稚園は楽しいよ」という言葉では解決しにくいことがほとんどです。

むしろ、「大丈夫、楽しいから!」と気持ちを否定されると、「わかってもらえなかった」という悲しさが加わり、さらに泣いてしがみついてくることがあります。

「ママといたい」が強く出る場面

登園の準備中・玄関で

「幼稚園の準備をしよう」という声かけの時点で「行きたくない、ママといたい」が始まるケースが多いです。

準備自体が「これから離れる」という合図になってしまっているため、準備の段階から気持ちが高まります。

先生に引き渡す瞬間

ママから先生に引き渡される瞬間が最も「ママといたい」が爆発する場面です。

「ここで本当に離れる」という実感が最も強くなるタイミングであり、しがみつく・足を踏ん張って離れない・泣き叫ぶという行動が出ます。

ただし、ほとんどの場合、ママの姿が見えなくなると数分で落ち着くことがほとんどです。

ママの姿が見えなくなる直前

「もう行くよ」と告げた瞬間に「行かないで!」と激しく泣き叫ぶケースがあります。

このとき親が引き留められて「もう少しだけ」と戻ることを繰り返すと、「泣けばもう少しいてくれる」と学習し、しがみつく時間が延長されていきます。

月曜日・休み明け

週末にたっぷりとママと過ごした後の月曜日は、「またママと離れなければならない」という落差が大きくなり、「ママといたい」が特に強くなります。

週末の過ごし方を工夫して「月曜日が来ることへの見通し」を持たせることが予防になります。

体調が優れないとき

少し体調が悪いと感じているときは、分離不安が普段より強く出ます。

「なんとなく不安」「いつもより甘えたい」という状態のときは「ママといたい」が強まりやすいため、体調管理も登園しぶりの予防につながります。

「ママといたい」という登園しぶりは、場面ごとに感情の高まり方が異なり、場面に応じた対応を持っておくことが大切です。

次の段落では、正しい対応方法を詳しく解説します。

「ママといたい」登園しぶりへの正しい対応方法

「ママといたい」という登園しぶりへの正しい対応は、気持ちを受け止めてから、必ず迎えに来るという安心を伝えて明るく短く別れることです。

「かわいそうだから」と引き離しを長引かせることが、分離不安をさらに強める最大の原因になります。

まず気持ちを受け止める

「ママといたいよね、わかるよ」「一緒にいたいって思うよね」と、子どもの気持ちをそのまま言葉にして受け止めます。

「大丈夫!幼稚園楽しいよ!」と即座に前向きな言葉に変えようとすることは、子どもの気持ちを否定することになり逆効果です。

「わかってもらえた」という感覚が、次の一歩を踏み出しやすくします。

「必ず迎えに来る」を毎回伝える

「〇時に迎えに来るよ」「ごはんの後に来るよ」と、具体的かつ毎回同じ言葉で伝えることが大切です。

「必ず戻ってくる」という信頼の積み重ねが、分離不安を少しずつ和らげていきます。

時計が読める年齢なら「長い針が12になったら迎えに来るよ」という具体的な伝え方が安心感を高めます。

お別れの儀式を作る

毎朝同じ流れで別れる「お別れの儀式」を作ることが非常に有効です。

「ギュッとして、ハイタッチして、手を振ってバイバイ」など、毎日同じ流れで終わる見通しを作ることで、「これが終わればママは帰る」という予測が持てるようになります。

儀式が終わったら振り返らずにその場を離れることが重要です。

短く明るく別れる

「行ってくるね、迎えに来るよ」と明るく短く伝えてから離れます。

長い時間をかけてなだめることは子どもの不安をさらに高めるため、お別れは短くスパッと終わらせることが大切です。

涙をこらえて「大丈夫」という表情で送り出すことが、子どもへの最大の安心のメッセージになります。

嘘をついて立ち去らない

「ちょっとトイレ行ってくるね」と言って消えることは絶対に避けましょう。

一度でも親が嘘をついて消えた経験があると、「次も突然消えるかもしれない」という不安が倍増し、分離不安がさらに強くなります。

「行くよ、またね」と正直に伝えて離れることが信頼の土台を守ります。

帰宅後にしっかり受け止める

「お帰り、会いたかったよ」と迎えて抱きしめ、「今日も頑張ったね」と頑張りを認めます。

「帰ればちゃんとママがいる」という体験の積み重ねが、「行ってもまた帰ってこられる」という安心感を育てていきます。

「ママといたい」という登園しぶりへの対応は、気持ちを受け止め・安心を伝え・短く別れるという流れを毎朝一貫して続けることが基本です。

次の段落では、分離不安を和らげるための日常の工夫を解説します。

分離不安を和らげるための日常の工夫

分離不安を和らげるためには、日頃から「ママはいなくなっても必ず戻ってくる」という信頼を積み重ねることが最も基本的なアプローチです。

分離不安は登園しぶりとして現れますが、その根っこにあるのは「ママに捨てられるかもしれない」という根源的な不安です。

この不安を日常の小さな経験の積み重ねで解消することが、登園しぶりを根本から和らげる力になります。

日常の中で「離れても戻る」を繰り返す

「ちょっとトイレ行ってくるね、すぐ戻るよ」「お買い物行ってくるね、〇時に帰るよ」と、日常の小さな別れでも必ず予告して、必ず戻ってくることを繰り返します。

「言ったことは必ず守る」という経験の積み重ねが、「ママは必ず戻ってくる」という信頼を育てます。

たっぷりのスキンシップを積み重ねる

帰宅後・就寝前など、一緒にいる時間に意識的に抱っこ・ハグ・手をつなぐなどのスキンシップを増やします。

「ママに愛されている・守られている」という安心の土台が強固になるほど、離れることへの不安が和らいでいきます。

「つなぎ」になるものを持たせる

ハンカチにママの香水をつけて持たせる・小さな写真を持たせるなど、「ママの代わりになるもの」を持たせることが分離不安を和らげる効果があります。

「いつでもここにあるよ」という安心のよりどころが、ママがいない時間の不安を和らげます。

就寝前に翌日の見通しを話す

「明日は幼稚園だね、〇時に迎えに行くよ」と就寝前に伝えておきます。

「明日何が起きるか」という見通しを持って眠ることで、翌朝の登園しぶりが和らぐことがあります。

親自身が分離不安を手放す

「こんなに泣かせてかわいそう」「愛情が足りないのかも」という親自身の罪悪感と不安が、子どもの分離不安をさらに強める原因になることがあります。

「ママといたいという気持ちは、愛着がちゃんと育っている証拠」と理解することが、親自身の安心感を生み、子どもへの落ち着いた対応につながります。

分離不安を和らげるためには、「必ず戻ってくる」という信頼の積み重ね・十分なスキンシップ・日常の小さな見通しを持たせることを日常的に続けることが最も効果的なアプローチです。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。