癇癪は遺伝するの?親の特性と子どもへの影響について

癇癪

「自分も子どものころ癇癪がひどかった」「夫婦どちらかが怒りっぽい」という場合、癇癪は遺伝するのかと気になる親御さんは多いのではないでしょうか。

遺伝が関係するとしたら、どう対応すればいいのか不安になることもあるはずです。

癇癪と遺伝の関係を正しく知ることで、わが子への関わり方に迷わなくなります。

癇癪に遺伝が関係するのは事実ですが、環境と関わり方次第で十分にコントロールできるものです。

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癇癪は遺伝するの?

癇癪そのものが遺伝するわけではありませんが、癇癪の起きやすさに影響する気質や感情の反応パターンは遺伝の影響を受けます。

遺伝するのは「癇癪を起こす行動」そのものではなく、感情の感じやすさ・興奮しやすさ・刺激への反応の強さといった「気質」の部分です。

たとえば、感情が強く動きやすい、刺激に敏感、切り替えが苦手といった特性は、親から子へ遺伝しやすいことが研究からわかっています。

これらの気質を持つ子どもは、同じ状況でも他の子より強く反応しやすく、結果として癇癪が起きやすくなります。

ただし、気質はあくまで「傾向」であり、癇癪が必ず起きるかどうかを決めるのは遺伝だけではありません。

日頃の親の関わり方・生活環境・ストレスの量・睡眠や食事といった要因が、気質と組み合わさって癇癪の頻度や強さを大きく左右します。

「自分も怒りっぽかったから仕方ない」と諦める必要はなく、環境と関わり方を整えることで、気質があっても癇癪はコントロールできます。

また、「親が怒りっぽいから子どもも怒りっぽくなった」という場合、遺伝だけでなく、親の感情的な行動を見て子どもが学習しているという側面も考えられます。

遺伝と環境の両方が絡み合っているため、「遺伝のせい」と決めつけず、環境から変えられることに目を向けることが大切です。

このように、癇癪の起きやすさに遺伝は関係しますが、癇癪そのものが遺伝するわけではありません。

次の段落では、癇癪に関係する遺伝的要因について詳しく解説します。

癇癪に関係する遺伝的要因とは

癇癪に関係する遺伝的要因は、気質の感受性の高さ・衝動性・感情の調整しにくさの3つです。

これらはいずれも、脳の神経回路や神経伝達物質のはたらきに関わるものであり、生まれつきの特性として親から子へ受け継がれやすいことが知られています。

これらの特性があること自体は問題ではなく、特性に合った環境と関わりを整えることで、癇癪の頻度や強さを大きくコントロールできます。

感受性の高さ

音・光・触感・人混みなどの刺激に強く反応する特性は、遺伝の影響を受けやすい気質のひとつです。

感受性が高い子どもは、些細なことでも強く感情が動くため、癇癪のきっかけになりやすい出来事が日常の中に多くなります。

親自身が「自分も小さいころ敏感だった」「刺激に疲れやすい」と感じるなら、子どもの感受性の高さも遺伝的な影響の可能性があります。

感受性の高さは、芸術的な感性や共感力の高さにもつながる豊かな特性でもあります。

否定するのではなく、その特性に合った環境を整えること、つまり刺激の少ない落ち着いた空間を作ることや、感情を丁寧に言語化してあげることが大切です。

衝動性の高さ

「待てない」「我慢できない」という衝動性の高さも、遺伝と関連しやすい特性のひとつです。

ADHDの傾向がある親の子どもは、衝動性が高くなりやすく、欲求が満たされないときの感情爆発が強く出ることがあります。

衝動が出やすい場面を事前に把握して環境を整えること、待ち時間があるときは見通しを伝えて短い単位に分けることが、有効な対応になります。

衝動性は環境と関わり方で大きくコントロールできるため、遺伝があるからといって諦める必要はありません。

感情の調整しにくさ

怒りや悲しみなどの強い感情が出たときに、自分でなだめて落ち着く力(感情調整力)の発達しにくさも、遺伝的な影響を受けることがあります。

感情調整が苦手な親の子どもは、同様の傾向を持ちやすいことが研究でも示されています。

しかし、感情調整の力は適切な関わりと経験の積み重ねで育てることができるため、遺伝だけで決まるものではありません。

「感情を言葉で受け止めてもらう」という経験を繰り返すことが、感情調整力を育てる最も基本的なアプローチになります。

このように、癇癪に関係する遺伝的要因は気質の感受性・衝動性・感情調整力の3つが中心です。

次の段落では、遺伝より環境が癇癪に与える影響について解説します。

遺伝より環境が癇癪に与える影響

癇癪の頻度や強さを決める要因として、遺伝より環境と関わり方のほうが大きな影響を持ちます。

行動遺伝学の研究では、気質などの特性に遺伝が関与することは認められていますが、同時に環境の影響も同等かそれ以上に大きいことが示されています。

つまり、遺伝的に癇癪が起きやすい気質を持っていたとしても、育つ環境と親の関わり方次第で、癇癪の出方は大きく変わります。

「遺伝だから仕方ない」と諦めるのではなく、環境を整えることに目を向けることが、癇癪を減らすための最も現実的なアプローチです。

生活リズムの安定

睡眠・食事・活動のリズムが整っている子どもは、感情が安定しやすく、癇癪が起きにくい傾向があります。

逆に睡眠不足や空腹が続くと、どんな気質の子でも感情コントロールが難しくなります。

特に気質的に感情が動きやすい子は、生活リズムの乱れが癇癪に直結しやすいため、規則正しい生活を整えることが最優先の予防策になります。

「癇癪が多い時期」は、まず睡眠時間と食事のタイミングを見直すだけで、大幅に改善するケースは少なくありません。

親の感情的な安定

親自身が怒りっぽい・感情的になりやすいという場合、子どもはそのモデルを学んで同じパターンを身につけることがあります。

遺伝的な気質に加えて、親の行動を見て学ぶという「学習」の側面も、子どもの癇癪に影響します。

逆に言えば、親が感情をコントロールする姿を見せることが、子どもの感情コントロールの力を育てる最も効果的な方法のひとつです。

「ちょっとイライラしたけど、深呼吸したら落ち着いた」と声に出すだけで、子どもへのよいモデルになります。

日頃の関わり方

感情を言葉で受け止めてもらう経験を積んだ子どもは、感情調整力が育ちやすいことがわかっています。

「悔しかったんだね」「悲しかったんだね」と日頃から感情を言語化してもらうことで、子どもは自分の感情を言葉で表現できるようになっていきます。

この経験の積み重ねが、癇癪の代わりに言葉で気持ちを伝える力につながります。

「感情を否定しない」「感情に名前をつけてあげる」という関わりは、遺伝的な気質があっても、癇癪を確実に減らしていく力になります。

安心できる家庭環境

子どもは安心できる環境でこそ感情が安定します。

スキンシップ・穏やかな声かけ・一貫した対応など、安心感を与える関わりを日頃から積み重ねることが、気質的に感情が動きやすい子ほど重要になります。

「この家にいれば安心」という感覚が土台にある子どもは、外でのストレスを家で適切に発散できるため、癇癪が慢性化しにくくなります。

このように、遺伝的な気質よりも環境と日頃の関わり方のほうが、癇癪の出方を大きく左右します。

次の段落では、癇癪が強い子どもへの日常の関わり方を解説します。

癇癪が強い子どもへの日常の関わり方

癇癪が強い子どもへの日常の関わりで最も大切なことは、感情を否定せず受け止め、安心できる環境を整えることです。

気質として感情が動きやすい子・衝動性が高い子は、そもそも感情のコントロールに大きなエネルギーを必要としています。

「なぜこんなに癇癪を起こすのか」と責めるより、「この子はそれだけ感情が豊かで、まだコントロールの練習中なんだ」と理解することが、関わりの出発点になります。

感情に名前をつける

「今悔しいんだね」「怒りたい気持ちなんだね」と日常的に感情を言語化してあげます。

感情に名前がつくと、子どもは自分の状態を認識しやすくなり、言葉で伝える練習につながります。

「悔しい」「悲しい」「モヤモヤする」「怖い」など、感情を表す言葉のレパートリーを増やすことが、癇癪を言葉に変えていく土台になります。

生活リズムを整える

睡眠・食事・活動の時間を一定にすることで、感情が安定しやすくなります。

癇癪が多い時期は、特に睡眠時間を見直すだけで改善するケースが多くあります。

気質的に感情が動きやすい子は、睡眠不足や空腹の影響を受けやすいため、生活リズムの安定が最優先の予防策です。

親自身が感情をコントロールして見せる

「ちょっとイライラしたけど、深呼吸したら落ち着いた」と親が声に出すことが、子どもにとって最もよい感情コントロールのモデルになります。

遺伝的な傾向があるからこそ、親自身が感情と上手に向き合う姿を見せることが大きな効果を持ちます。

親が「感情は爆発するもの」という行動を見せ続けると、子どもはそれを学習します。逆に「感情はコントロールできる」という姿を見せることで、子どもも少しずつその力を育てていきます。

癇癪の後に責めない

癇癪が収まった後に「なんであんなことしたの」と責めても、子どもの感情調整力は育ちません。

「落ち着いたね、次は言葉で教えてね」と前向きに締めくくることを習慣にします。

責めることで子どもの自己否定感が高まり、次の癇癪がさらに激しくなることがあります。落ち着いたことを認めるだけで十分です。

発達特性の可能性も視野に入れる

気質的に感情が動きやすい特性が強い場合、発達特性(ASD・ADHDなど)が関連していることもあります。

癇癪が日常生活に大きく支障をきたす場合は、かかりつけ小児科や発達外来への相談を検討することも、子どものためになる選択肢のひとつです。

「遺伝的な気質」と「発達特性」は別物ですが、重なることもあるため、気になる場合は専門家に相談することで、その子に合ったサポートが見えてきます。

癇癪が強い子どもへの日常の関わりで最も大切なことは、感情を受け止めて安心できる環境を整え、感情コントロールを一緒に育てていくことです。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。