言葉が遅い原因とは?心配なケース・問題ないケースの見分け方

言葉の遅れ

「うちの子、言葉が遅いかも」と感じたとき、まず頭をよぎるのは「何か問題があるのだろうか」という不安ではないでしょうか。

でも実際には、原因はさまざまで、環境や関わり方を少し変えるだけで大きく変わるケースも多くあります。

反対に、早めに専門家に相談したほうがよいケースもあり、両者を見極めることが最初の大切な一歩です。

この記事では、言葉が遅い原因を「環境・気質によるもの」と「発達・身体的な要因によるもの」に整理し、それぞれの確かめ方と今日からできる対処法を脳科学の視点からあわせて解説します。

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言葉が遅い原因とは?

言葉が遅い原因とは、大きく「環境・気質によるもの」と「発達・身体的な要因によるもの」の2つに分けられます。

この2つはまったく性質が異なります。

環境・気質によるものは、日常の関わり方を変えることで改善できる可能性が高く、専門機関への相談が必ずしも必要ではないケースも多いです。

一方、発達・身体的な要因によるものは、家庭での関わりだけでは対処が難しく、専門家のサポートが必要になることがあります。

どちらの原因に当てはまるかを把握することで、次に取るべき行動が明確になります。

まず大切なのは、「言葉が出ていない」という事実だけで判断するのではなく、以下の3点を確認することです。

  • 言葉以外のコミュニケーション(身振り・表情・指差し)は取れているか
  • こちらの言葉を理解して行動できているか
  • 目が合う・人への関心があるか

この3点が揃っている場合、言葉の遅れは「出力の遅れ」であり、環境や気質による可能性が高くなります。

逆にこれらが一つでも欠けている場合は、発達・身体的な要因が関わっている可能性があります。

また、言葉が育つためには「意味の理解」「コミュニケーションしたい気持ち」「発音のための身体機能」の3つが揃う必要があります。

どの要素が不足しているかを見極めることが、適切な対処への第一歩です。

このように、言葉が遅い原因とは、大きく「環境・気質によるもの」と「発達・身体的な要因によるもの」の2つに分けられます。

次の段落では、環境や関わり方が影響しているケースを原因ごとに詳しく解説します。

言葉が遅い原因①・環境や関わり方が影響しているケース

言葉が遅い原因として最も多いのは、環境や日常の関わり方に起因するケースです。

これらは原因に気づいて対処することで、言葉の発達が大きく変わる可能性があります。

声かけ・言語インプットの量が少ない

言葉は「聞かせる量」に比例して育ちます。

子どもの脳は0歳〜6歳の間に神経系の約90%が完成するといわれており、この時期に言葉をたくさん聞かせることが語彙力や発語力に直結します。

特に3歳までは脳の発達の約80%が完成する「才能開花の黄金期」であり、この時期の言語インプットの量が後の言語力を大きく左右します。

忙しい日常の中で、子どもに話しかける時間が少なくなっていないか振り返ってみましょう。

今日からできる対処

子どもが何かをしているとき、「ごはんを食べてるね」「ボールを投げたね」とその行動をそのまま実況するように言葉にしましょう。

意味のある言葉を一方的に聞かせるだけでよく、子どもが答えられなくても構いません。

ゆっくりはっきり話すこと、子どもが夢中になっているときに声をかけることがポイントです。

大人が先回りしてしまっている

子どもが何かを言おうとしたとき、親が先回りして「ジュースがほしいの?」と代わりに言ってしまうことはよくあります。

しかしこれを繰り返すと、子どもは「言わなくても伝わる」と学習し、自分から言葉を発しようとしなくなります。

子どもが言葉を使う機会が奪われることが、言葉の遅れの大きな原因のひとつです。

家族が気を利かせすぎる環境、非言語だけで要求が通ってしまう環境では、言葉の発達が停滞しやすくなります。

今日からできる対処

子どもが何かを求めているとき、少し待って自分から言葉を出そうとする間を大切にしましょう。

「りんごとバナナ、どっちがいい?」と2択で聞くなど、言葉を使わざるを得ない場面を意識的につくることも有効です。

最初は指差しで答えるだけでも構いません。

テレビ・動画の長時間視聴

テレビや動画から流れてくる音声は、一方的なものです。

言葉の発達に必要なのは、「伝えたい相手がいる」という双方向のコミュニケーションです。

テレビをつけっぱなしにしている環境では、音声は耳に入っていても「言葉を使って伝えたい」という動機が育ちにくくなります。

また、画面から流れる言葉は話し言葉と異なるテンポや抑揚を持つことが多く、子どもが自然な言語パターンを習得しにくい場合があります。

今日からできる対処

テレビを見せる時間を区切り、意識的に親子で会話する時間を確保しましょう。

一緒に動画を見ながら「これはなに?」と声をかけるだけでも、一方通行から双方向に変わります。

二言語環境で育っている

日本語と外国語が混在する環境で育っている子どもは、言葉の習得に時間がかかることがあります。

どちらの言語も耳に入ってくることで、脳が整理しながら習得するため、一時的に発語が少なく見えることがあります。

これは言葉の遅れではなく、二言語を同時に処理している成長のプロセスです。

長期的には二言語を話せるという大きな強みになります。

今日からできる対処

それぞれの言語での発達を別々に評価しましょう。

どちらか一方の言語で理解力があり、コミュニケーションが取れているなら、概ね問題ありません。

おとなしい気質・内向的な性格

生まれつき観察することが好きで、自分からは積極的に話さない子どももいます。

呼びかけに反応する・指差しでコミュニケーションが取れる・こちらの言葉を理解しているといった様子があれば、発語だけが控えめな気質の可能性が高いです。

こうした子どもに言葉を強制的に引き出そうとすることは逆効果になることがあります。

「話さなければいけない」というプレッシャーを与えず、安心して話せる環境を整えることが大切です。

今日からできる対処

子どもが言葉を出したときに大げさなくらい喜んで反応してあげましょう。

「話すと嬉しいことが起きる」という体験の積み重ねが、発語への動機づけになります。

このように、言葉が遅い原因として最も多いのは、環境や日常の関わり方に起因するケースです。

次の段落では、身体や発達に関わる原因について解説します。

言葉が遅い原因②・身体や発達に関わるケース

身体や発達に関わる原因の場合、家庭での関わりだけでなく専門家のサポートが必要になることがあります。

ただし、これらの原因があっても早期に気づいて対応することで、言葉の発達を大きく後押しできます。

単純性言語遅滞

単純性言語遅滞とは、知的障害や聴覚の問題などがないにもかかわらず、言葉の発達だけが遅れている状態を指します。

言葉の遅れ以外の発達には問題がなく、言葉の理解力も年齢相応に育っていることが多いです。

2〜3歳にかけて急激に言葉が発達し、自然に追いつくケースも多くあります。

「話せない」のではなく「まだ話す準備が整っていない」という状態であることが多いです。

確かめ方

こちらの言葉を理解して行動できているか(「ちょうだい」「ポイして」などの指示に従えるか)、目が合うか、指差しがあるかを確認しましょう。

これらができていれば、単純性言語遅滞の可能性が高く、豊かな言語環境を整えながら様子を見ることができます。

発達性言語障害(レイトトーカー)

聴覚や認知、対人関係に問題はないものの、言葉の発達だけが顕著に遅れている状態です。

「表出性言語障害」(言葉は理解しているが発語が遅れる)と「受容性言語障害」(言葉の理解自体が遅れている)の2種類があります。

表出性言語障害の場合、言語の理解力は育っているため、環境の整備と専門的なサポートで発語が促されることが多いです。

受容性言語障害の場合は、言葉の意味理解そのものに課題があるため、より専門的な関わりが必要になります。

確かめ方

言葉は出ないが、こちらの指示に従える・絵本を見ながら指差しができるという場合は、表出性の可能性があります。

言葉の理解も困難な場合は、受容性の可能性があり、言語聴覚士への相談をおすすめします。

聴覚の問題

言葉は耳で聞いて脳で処理して初めて口から出てきます。

聴覚に問題がある場合、そもそも言葉が正確に聞こえていないため、インプット自体が不足します。

聴覚の問題は家庭で気づきにくく、見逃されやすいため注意が必要です。

新生児聴覚スクリーニングで問題がなかった場合でも、その後に聴力の問題が生じることがあります。

確かめ方

以下の点を確認してみましょう。

  • 後ろから名前を呼んだときに振り向くか
  • 音の出るおもちゃに反応するか
  • 大きな音に驚くか
  • テレビの音量を極端に大きくしたがるか

反応が薄い場合は、耳鼻科での聴力検査を受けることをおすすめします。

聴覚の問題は早期に発見するほど、補聴器などのサポートで言語発達を支えることができます。

ASD(自閉スペクトラム症)

ASDでは、言葉の遅れに加えて対人関係やコミュニケーションの困難が見られることがあります。

言葉が遅いだけでなく、以下のような様子が複数見られる場合は、専門家への相談を検討しましょう。

  • 目が合いにくい
  • 名前を呼んでも反応しないことが多い
  • 一度出た言葉が突然使われなくなった
  • こだわりが強く、思い通りにいかないと激しく泣く
  • 同じ動作を繰り返す(手をひらひらさせる・同じ場所を行き来するなど)
  • 人よりものへの関心が強い
  • 感覚の過敏さや鈍麻がある

ASDがあっても、早期に適切なサポートを受けることで、コミュニケーション力や言語力を育てることができます。

診断の有無にかかわらず、専門家が子どもの特性に合わせた関わり方を提案してくれます。

知的障害(知的発達症)

知的障害がある場合、言葉の発達だけでなく、全体的な発達の遅れが見られることがあります。

運動発達・社会性・認知機能など複数の領域での遅れが重なっているときは、専門機関への相談が必要です。

3歳を過ぎても言葉がほとんど出ず、複数の発達領域での遅れが重なっている場合は、かかりつけの小児科や発達支援センターへの相談をおすすめします。

このように、身体や発達に関わる原因の場合、家庭での関わりだけでなく専門家のサポートが必要になることがあります。

次の段落では、心配なサインと問題ないサインの見分け方を整理します。

言葉が遅い原因を見極める・心配なサインと問題ないサインの違い

言葉が遅い原因が「様子を見てよいものか」「専門家に相談すべきものか」は、言葉以外の発達の様子で判断することができます。

問題ない可能性が高いサイン

以下の様子が見られる場合は、環境や気質による遅れである可能性が高いです。

確認ポイント 問題ない可能性が高い様子
指差し 興味のあるものを指で示せる
理解力 「ちょうだい」「ポイして」などの指示に従える
視線 目が合う・こちらの反応を確認している
模倣 大人の動作や口の形を真似しようとする
コミュニケーション 身振り・表情で気持ちを伝えようとする
関心 人や周囲への興味・好奇心がある

これらが揃っていれば、言語の理解力は育っており、発語だけが遅れているケースが多いです。

「言葉の入力は十分にされており、出力を待っている状態」と考えることができます。

専門家への相談を検討すべきサイン

以下に一つでも当てはまる場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

月齢・年齢 相談を検討すべき状態
1歳半 指差しがない・意味のある言葉が出ない
2歳 一語文が出ない・名前を呼んでも振り向かない
2歳半 二語文が出ない
3歳以上 会話のやりとりが成立しない・言葉がほとんど出ない
任意 一度出た言葉が突然使われなくなった

「まだ小さいから」「男の子は遅いから」と自己判断で様子を見続けることが、適切なサポートを遅らせることにつながる場合があります。

このように、言葉が遅い原因が「様子を見てよいものか」「専門家に相談すべきものか」は、言葉以外の発達の様子で判断することができます。

次の段落では、原因が環境にある場合に今日からできる関わり方を解説します。

言葉が遅い原因が環境にある場合に今日からできること

言葉が遅い原因が環境や関わり方にある場合、日常の関わりを変えることが最も効果的な対処です。

右脳教育の観点では、言葉は「大量のインプット→蓄積→出力」という流れで発達します。

「なぜ話さないのか」ではなく「どれだけ聞かせているか」に意識を向けることが、発語を促す最短ルートです。

以下の関わりを今日から取り入れてみましょう。

絵本の読み聞かせを毎日続ける

絵本はイラストと言葉を同時にインプットできる最良の教材です。

右脳はイメージで情報を処理するため、絵と言葉がセットになった絵本は語彙の定着を促します。

文字数が少ないもの・繰り返しのリズムがあるものを選び、同じ絵本を繰り返し読むことが効果的です。

子どもが気になったページで止めて「これはわんわんだね」と声をかけることで、絵と言葉のつながりが強くなります。

「理解していないかもしれない」と思っても、根気よく続けることが大切です。

フラッシュカードで言語インプットを増やす

フラッシュカードは右脳の瞬間記憶を活用した言語インプット法です。

1枚1〜2秒のスピードで絵と言葉がセットになったカードを見せるだけで、子どもの右脳に大量の語彙が入力されます。

テスト形式にせず、親が楽しそうに「りんご!」「いぬ!」と言いながら見せるだけでよいです。

「言えたか確認する」のではなく「聞かせ続ける」ことが目的です。

短時間で楽しく続けることがポイントです。

歌・童謡・リズム遊びを取り入れる

言葉はリズムと深く結びついています。

童謡や手遊び歌は、音のパターンと意味を楽しみながら繰り返せるため、発語を自然に促します。

同じ歌を毎日繰り返すことで、子どもはメロディと言葉をセットで覚えていきます。

「むすんでひらいて」「いとまき」など、体の動きと言葉が連動する歌が特に効果的です。

五感を使った遊びをする

砂遊び・水遊び・粘土など、手や体を使った遊びを通じて感覚と言葉をセットで覚えさせましょう。

「つめたい」「ふわふわ」「ざらざら」など体感と言葉が一致する瞬間が、語彙を育てます。

五感への刺激は脳全体を活性化させるため、言語発達の土台をつくる効果があります。

外遊びや自然とのふれあいも、語彙を広げるうえで非常に有効です。

スキンシップで安心の土台をつくる

子どもが安心できる環境があってはじめて、言葉は育ちます。

脳幹(生命の座)が安定することで脳全体がリラックスし、言語回路が働きやすくなります。

抱っこ・目を合わせる・やさしく名前を呼ぶといった日常のスキンシップを大切にしましょう。

「話したい」という気持ちは、安心できる相手がいるからこそ育まれます。

このように、言葉が遅い原因が環境や関わり方にある場合、日常の関わりを変えることが最も効果的な対処です。

次の段落では、専門家への相談先と相談時に伝えるべき情報を整理します。

言葉が遅い原因が気になるときの相談先と専門家に伝えること

言葉の遅れが気になるとき、相談先と伝えるべき情報を事前に整理しておくことで、スムーズに専門家のサポートを受けられます。

相談先の選び方

相談先 向いているケース
かかりつけ小児科 まず最初の相談窓口として。発達の全体的な評価を受けられる
地域の保健センター 健診の間に気になることがある場合。保健師が対応
言語聴覚士のいる医療機関 言葉・コミュニケーションに特化した専門的な評価と訓練が受けられる
発達支援センター(児童発達支援) 発達障害の可能性がある場合や療育的サポートが必要な場合
耳鼻科 聴力に問題がある可能性がある場合。聴力検査を受けられる

「どこに行けばいいかわからない」という場合は、まずかかりつけの小児科か地域の保健センターに連絡してみましょう。

「大げさかもしれない」と思う必要はありません。

早期に相談することは、早期に安心できることにもつながります。

相談時に伝えると役立つ情報

専門家への相談をスムーズに進めるために、以下の情報をメモしておくことをおすすめします。

  • 現在の月齢・年齢
  • 現在話せる言葉の数と種類(一語文か二語文か)
  • 指差しの有無・いつ頃から出たか
  • 名前を呼んだときの反応
  • 目が合うかどうか
  • こだわりや特定の行動の繰り返しがあるか
  • いつ頃から気になり始めたか
  • 日常の様子を撮影した動画(あれば持参すると有効)

特に動画は、普段の自然な様子を記録したものが最も参考になります。

診察室では普段と違う様子になることも多いため、家庭での映像が専門家の判断に役立ちます。

このように、言葉の遅れが気になるとき、相談先と伝えるべき情報を事前に整理しておくことで、スムーズに専門家のサポートを受けられます。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。