しつけで叩くことの影響とは?体罰が子どもに与えるリスクと対処法

しつけ

しつけで叩くことの影響とはどれほど深刻なのかと、叩いてしまった罪悪感を抱えながら子育てをしている親御さんは少なくありません。

「これくらいは体罰ではない」「自分もそうやって育ったが問題なかった」と思いながらも、本当にこれでいいのかと迷っている方も多いはずです。

子どもの成長への影響を正しく知ることで、今日から関わり方を変えていくことができます。

「しつけで叩くことの影響とは何か」を知ることが、今日から関わり方を変える最初の一歩になります。

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しつけで叩くことの影響とは?

しつけで叩くことの影響は、子どもの脳・感情・行動・親子関係の4つの領域に現れ、短期的な効果より長期的な悪影響のほうがはるかに大きいことが科学的に明らかになっています。

「叩けばすぐに言うことを聞く」という短期的な効果は確かに存在します。

しかしその効果は「恐怖による服従」であり、「何がよくなかったかの理解」ではありません。

恐怖によって行動が変わることと、理解によって行動が変わることはまったく別のことです。

脳への影響

カナダ・マクマスター大学の研究では、体罰を受けた子どもはそうでない子どもと比べて、前頭前野(判断力・感情制御をつかさどる部位)の発達が遅れる傾向があることが脳画像研究で示されています。

また、ハーバード大学の研究チームは、体罰を繰り返し受けた子どもの脳は、慢性的なストレス状態に置かれた場合と同様の変化が見られると報告しています。

「しつけのため」と叩くことが、子どもの脳の発達そのものを阻害するリスクがあることは、もはや科学的な事実です。

感情・心理への影響

叩かれることへの恐怖が積み重なると、子どもは「また叩かれるかもしれない」という慢性的な不安を抱えるようになります。

この不安は、萎縮・無気力・極度の従順さ、あるいは逆に攻撃性の増加として現れることがあります。

自己肯定感が傷つき、「自分は叩かれるような存在だ」という自己イメージが形成されると、成人後の対人関係・精神的健康・自己肯定感に長期的な影響を与え続けることがあります。

行動への影響

「叩くことで問題行動を止められる」という親の期待とは裏腹に、長期的には問題行動が増えることが多くの研究で示されています。

2016年に発表されたテキサス大学の大規模研究(50年間・16万人以上のデータ分析)では、体罰を受けた子どもは反社会的行動・攻撃性・精神的健康問題のリスクが有意に高くなることが確認されています。

「叩くことで暴力はいけないと教えられる」という主張が成り立たないのは、叩くこと自体が「力の強い者が弱い者を叩いてもよい」という暴力の学習になっているからです。

親子関係への影響

叩かれた体験が積み重なると、子どもは親を「安心できる存在」ではなく「怖い存在」として認識するようになります。

この認識は親子の信頼関係を根本から損ない、子どもが困ったときに親に相談できない・本当のことを話せないという関係を作ります。

思春期以降に親子関係が崩れる多くのケースの背景に、幼少期の体罰体験があることは珍しくありません。

このように、しつけで叩くことの影響は、子どもの脳・感情・行動・親子関係の4つの領域に現れ、短期的な効果より長期的な悪影響のほうがはるかに大きいことが科学的に明らかになっています。

次の段落では、叩いてしまう親が抱える本当の原因を解説します。

叩いてしまう親が抱える本当の原因

叩いてしまう親が抱える本当の原因は、自分自身が叩かれて育った・余裕のなさ・「これくらいは体罰ではない」という認識のズレの3つが中心です。

「叩いてしまう自分はダメな親だ」と自己嫌悪に陥っている親御さんに、まず伝えたいことがあります。

叩いてしまうことは、あなたが「悪い親」だからではなく、追い詰められた状況・育ちのパターン・知識や方法の不足から起きていることがほとんどです。

自分自身が叩かれて育った

「叩かれて育ったが自分は問題なかった」という体験から、「叩くことは普通のしつけ」という感覚が無意識に刷り込まれていることがあります。

自分が受けてきた関わり方は、意識しないまま次の世代に引き継がれやすいことが、発達心理学の研究でも示されています。

「自分がそうされたから」は、同じことを繰り返す理由にはなりません。しかし、そのパターンに気づくことが変えるための第一歩です。

親自身の余裕のなさ

仕事・育児・家事の疲弊・睡眠不足・パートナーとの関係・経済的ストレスなど、親自身の余裕がなくなったときに感情的な行動が出やすくなります。

「ちゃんとしつけなければ」という責任感と「でも言うことを聞かない」というストレスが重なったとき、感情が爆発して叩いてしまうというパターンが多くあります。

これは弱さではなく、限界のサインです。親自身の休息・サポートを確保することが、叩かない関わりを続けるための根本的な解決策になります。

「これくらいは体罰ではない」という認識のズレ

「お尻を叩くくらいは体罰ではない」「手の甲を叩くのはしつけの範囲内」という認識を持っている親御さんは多くいます。

しかし2020年の改正児童虐待防止法では、「しつけを名目とした体罰」は程度を問わず禁止されています。

「軽い体罰は許容される」という認識は、法律的にも科学的にも根拠がないことを知っておくことが大切です。

「叩く以外の方法を知らない」

叩くことを唯一の手段として使っている場合、それ以外の効果的な方法を知らないことが原因になっていることがあります。

「怒鳴るか叩くしか効かない」という感覚は、代替手段を知ることで変えることができます。

このように、叩いてしまう親が抱える本当の原因は、自分自身が叩かれて育った・余裕のなさ・「これくらいは体罰ではない」という認識のズレの3つが中心です。

次の段落では、しつけで叩くことが法律上どう扱われるかを解説します。

しつけで叩くことが法律上どう扱われるのか

しつけを名目とした子どもへの体罰は、2020年4月に施行された改正児童虐待防止法によって明確に禁止されています。

「しつけのためだから体罰は許される」という考え方は、法律上も認められていません。

2020年の改正により、親権者による体罰が明確に禁止され、「しつけ」という名目であっても例外はないことが法律に明記されました。

厚生労働省のガイドラインでは、以下のような行為が体罰として明示されています。

  • お尻や手の甲を叩く
  • 頬をたたく・つねる
  • 正座や壁に立たせるなどの罰的な行為
  • 食事を与えない・戸外に出すなどの行為
  • 「バカ」「死ね」などの言葉による行為

「これくらいは大丈夫」という感覚的な判断ではなく、法律の基準を知った上で関わり方を考えることが重要です。

体罰禁止は「子育てを難しくするための規制」ではなく、「子どもの権利と発達を守るための基準」として理解することが大切です。

なお、法律で禁止されているからという理由だけでなく、前の段落で示したように科学的な根拠からも体罰には効果がなくリスクのほうが大きいことが明らかになっています。

このように、しつけを名目とした子どもへの体罰は、2020年4月に施行された改正児童虐待防止法によって明確に禁止されています。

次の段落では、叩かないしつけに変えるための具体的な方法を解説します。

叩かないしつけに変えるための具体的な方法

叩かないしつけに変えるための最も大切な出発点は、「叩くことをやめよう」という意志より「叩かなくて済む状況を作ること」を優先することです。

「叩かないようにしよう」と意志の力だけで変えようとしても、感情が爆発する状況が変わらない限り繰り返しやすいです。

まず状況と環境を変えることが、叩かないしつけへの現実的なアプローチになります。

その場を離れる

叩きたくなったら「少し待ってて」と言ってその場を離れ、別の部屋で深呼吸して落ち着いてから戻ります。

「その場を離れる」という行動が、感情的な体罰を防ぐ最も現実的なブレーキになります。

子どもを安全な場所に確保した上で、親が冷静になる時間を作ることは「逃げること」ではなく「正しい対処」です。

「なぜダメなのか」を短く伝える

叩く代わりに、目線を合わせて落ち着いた低い声で「○○は危ないからダメ」「○○したらお友達が痛い」と短く伝えます。

大きな声・長い説教より、低く落ち着いた声で短く伝えることのほうが、子どもの脳にきちんと届きます。

タイムアウトを使う

感情が爆発しそうな状況では、子どもを叱るのではなく「少し一人でいようか」と静かな場所で落ち着かせる「タイムアウト」が有効です。

これは罰ではなく、感情を落ち着かせる時間として使うことが大切です。

できたことを積極的に認める

問題行動に注目するより、できていることを積極的に認めることで、子どもが「認めてもらえるから続けよう」という動機で行動するようになります。

「叱るより認める」という関わりへのシフトが、長期的に問題行動を減らす最も効果的なアプローチです。

叩いてしまったら謝る

叩いてしまった後は「さっきは叩いてごめんね」と子どもに謝ることが大切です。

謝ることは権威を失うことではなく、「間違えたら謝る」という最も重要な手本を見せることになります。

専門家への相談を躊躇わない

「どうしても叩くことをやめられない」「感情のコントロールができない」という場合は、子育て支援センター・かかりつけの小児科・地域の相談窓口への相談を検討しましょう。

叩いてしまうことへの罪悪感を一人で抱え込まず、助けを求めることが子どものためにも親のためにも最善の選択です。

このように、叩かないしつけに変えるための最も大切な出発点は、「叩くことをやめよう」という意志より「叩かなくて済む状況を作ること」を優先することです。

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。