子どもが突然泣き叫び、床に転がって暴れる癇癪への対応に、手を焼いている親御さんは多いのではないでしょうか。
どう声をかけても泣き止まない、なだめても余計に激しくなる、そんな状況が続くと、親も気持ちが折れてしまいます。
実は、癇癪への対応にはやってはいけないことがあり、それを知らずに対応し続けることで癇癪がさらに悪化するケースも少なくありません。
正しい対応を年齢に合わせて積み重ねることで、癇癪の頻度も親の消耗も確実に減らしていくことができます。
癇癪への正しい対応方法とは?
癇癪への正しい対応は、まず安全を確保して落ち着くまで待ち、気持ちが収まってから言葉で寄り添うことです。
癇癪が起きている最中は、子どもの脳は感情の嵐の中にあり、言葉での説得や叱責はほとんど届きません。
脳科学的に見ると、癇癪中は感情をつかさどる扁桃体が過剰に活性化した状態であり、理性的な判断をする前頭前野がほぼ機能していない状態です。
この状態で長々と話しかけたり、「なぜ泣くの」「やめなさい」と強く制止しようとしても、子どもの混乱をさらに高めるだけです。
まずすべきことは、周囲に危険なものがないかを確認し、子どもが自分を傷つけないよう安全な環境を整えることです。
そのうえで、親は落ち着いた態度で近くにいながら、感情の波が引くのを静かに待ちます。
癇癪が落ち着いてきたタイミングで、「悲しかったね」「嫌だったね」と気持ちを短い言葉で受け止めてあげましょう。
このとき大切なのは、子どもの要求を叶えることではなく、感情そのものを認めてあげることです。
「泣いてもいいよ、でもここにいるよ」という親の存在が、子どもにとって最大の安心になります。
このように、癇癪への対応の基本は、安全確保→待つ→気持ちを受け止めるという順番で行うことです。
次の段落では、やってはいけない対応について解説します。
癇癪のときにやってはいけない対応
癇癪中に叱る・怒鳴る・要求を叶えるという対応は、癇癪をさらに悪化させるか、繰り返しやすくする原因になります。
特にやってはいけない対応には、以下のものがあります。
怒鳴る・強く叱る
感情的に怒鳴ることで、子どもの恐怖や不安がさらに高まり、癇癪が長引く原因になります。
脳が興奮状態にある子どもに強い刺激を与えると、落ち着くどころかさらに激しくなるケースがほとんどです。
親も人間ですから、毎日続く癇癪に感情的になってしまうのは自然なことです。しかし、怒鳴った後に親自身が罪悪感を感じ、さらに消耗するという悪循環にも陥りやすいため、意識して避けることが大切です。
要求を叶えてしまう
泣き止ませたい一心で要求を通してしまうと、「癇癪を起こせば思い通りになる」と学習してしまいます。
短期的には収まっても、長期的には癇癪の頻度が増える原因になります。
長々と説教する
癇癪中の子どもは、言葉による説得をほとんど処理できない状態にあります。
「なんでそんなことするの」「いい加減にしなさい」といった言葉は、興奮をさらに高めるだけです。
話し合いや振り返りは、子どもが完全に落ち着いてから行うのが鉄則です。
無視する・放置する
完全に無視することは、子どもに「見捨てられた」という感覚を与え、不安や恐怖を強めることがあります。
見守ることと放置することは全く別のものであり、近くにいながら落ち着くのを待つことが大切です。
親も感情的になる
親が怒りや焦りをぶつけてしまうと、子どもの脳はさらに警戒モードに入ります。
親自身がまず深呼吸して落ち着くことが、癇癪を早く収める最も効果的な方法のひとつです。
このように、癇癪中に叱る・要求を叶える・放置するといった対応は、問題をさらに大きくしてしまいます。
次の段落では、年齢別の癇癪対応のポイントを解説します。
年齢別の癇癪対応のポイント
癇癪への対応は、子どもの年齢と発達段階によって適切なアプローチが変わります。
同じ「癇癪」でも、1歳の子と4歳の子では脳の発達段階が大きく異なるため、対応も変えていく必要があります。
1歳・2歳の癇癪対応
この時期の癇癪は、言葉で気持ちを伝えられないことへの爆発がほとんどです。
言葉での説得はまだ難しいため、抱っこや背中をさするなど、スキンシップで安心感を伝えることが最優先です。
「イヤだったね」「悲しいね」と短い言葉で感情に名前をつけてあげることで、少しずつ気持ちの整理を手伝うことができます。
この時期は癇癪が起きること自体が正常な発達の一部であるため、「どうにかやめさせなければ」と焦らず、まず安心させることだけに集中しましょう。
3歳・4歳の癇癪対応
言葉が発達してくるこの時期は、癇癪が起きた後に「何が嫌だったか」を一緒に言葉にする練習を始めることができます。
「おもちゃ取られて悔しかったの?」など、感情を言語化する手助けをしてあげることが大切です。
また、「あと5回やったらおしまい」「時計の針がここに来たら終わり」など、見通しを持たせることで癇癪を予防できるケースも増えてきます。
「気持ちを言葉にする力」を育てることが、この時期の癇癪対応の最大のポイントです。
5歳・6歳の癇癪対応
この年齢になると、感情をある程度自分でコントロールする力が育ち始めます。
落ち着いているときに「怒りそうになったらどうする?」と一緒に考えておくことで、癇癪の予防につながります。
「深呼吸する」「その場から離れる」など、自分なりの気持ちの落ち着かせ方を見つける練習を始める時期です。
癇癪が起きても「次はどうしたらよかったか」を振り返る習慣をつけることで、自己コントロールの力が確実に育っていきます。
小学生の癇癪対応
小学生になっても癇癪が続く場合は、疲れやストレスの蓄積、あるいは発達特性が関連している可能性も視野に入れます。
感情日記をつける、怒りのスケールを10段階で表現するなど、自己理解を深めるアプローチが有効です。
また、学校生活で感じているストレスや人間関係の悩みが癇癪として出ているケースもあるため、日頃から話せる親子関係を築いておくことが何より大切です。
このように、年齢に合わせた対応を選ぶことが、癇癪への効果的なアプローチになります。
次の段落では、癇癪を繰り返さないための日常の工夫を解説します。
癇癪を繰り返さないための日常の工夫
癇癪を減らすための最も効果的な取り組みは、癇癪が起きる前の日常の関わり方を変えることです。
癇癪はある日突然起きるように見えて、実は日々の疲れ・空腹・睡眠不足・感情のたまりが積み重なって爆発することがほとんどです。
生活リズムを整える
睡眠不足や空腹は、癇癪の最大の引き金のひとつです。
就寝時間・食事の時間を一定にして、子どもの脳と体が安定した状態を保てるようにすることが、癇癪の予防に直結します。
「夕方になると癇癪が増える」「帰宅後にぐずりやすい」というパターンは、疲労と空腹が重なるタイミングであることが多く、おやつや休憩を挟むだけで癇癪の頻度が大幅に減るケースもあります。
見通しを伝える習慣をつける
「あと少しで終わるよ」「次は○○するよ」と事前に伝えることで、急な切り替えによる癇癪を大幅に減らすことができます。
特に、活動の終わりや移動のタイミングは癇癪が起きやすいため、数分前からの予告を習慣にしましょう。
視覚的なタイマーや絵カードを使うと、言葉だけで伝えるより子どもに伝わりやすくなります。
子どもの気持ちを日頃から言語化する
日常の会話の中で「今どんな気持ち?」「さっき嬉しそうだったね」と感情に言葉をつける機会を増やすことが大切です。
感情を言葉で表現する力が育つと、癇癪という形に頼らなくても気持ちを伝えられるようになっていきます。
絵本や遊びの中で登場人物の気持ちを一緒に考えることも、感情の言語化を育てる有効な方法です。
十分なスキンシップをとる
抱っこ・ハグ・手をつなぐといったスキンシップは、子どもの脳に安心感を与え、感情を安定させる効果があります。
愛情と安心を日頃から十分に受け取っている子どもは、欲求不満が溜まりにくく、癇癪も起きにくい傾向があります。
親自身のゆとりをつくる
親が疲弊していると、子どもの小さなサインを見落としたり、対応が感情的になりやすくなります。
自分のストレスを意識的に発散させ、周囲のサポートを遠慮なく借りることが、子どもへの安定した関わりを続けるために不可欠です。
「完璧に対応しなければ」というプレッシャーを手放すことも、親自身の大切なケアになります。
このように、日常の生活リズムと関わり方を整えることが、癇癪を繰り返さないための最も根本的なアプローチです。
監修

略歴
| 2017年 | 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得 |
|---|---|
| 2018年 | 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講 |
| 2020年 | 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート |
| 2025年 | 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任 |



