AI時代、子どもに本当に必要な力とは?生成AIと上手につきあい「自分で考える力」を育てる方法

非認知能力

「これからAIがもっと発達したら、子どもたちは何を学べばいいのでしょうか?」

最近、保護者の方や教育に携わる先生方から、こんな声を聞くことが増えてきました。

文章を考える。
調べものをする。
問題を解く。
アイデアを出す。

これまで人間が時間をかけて行っていたことの一部を、生成AIはほんの数秒でできるようになっています。

では、これからの子どもたちには、知識は必要なくなるのでしょうか。

決してそうではありません。

むしろAI時代だからこそ重要になるのが、「何を知っているか」だけではなく、

自分で問いを持つこと。
情報を確かめること。
自分なりに考えること。
試してみること。
そして、自分で決めることです。

つまり、これからの教育でますます大切になるのは、単に「答えを出せる子」を育てることではなく、「自分で考え、学び、選び、伸び続けられる子」を育てることなのです。

AI時代、子どもに必要な力が変わり始めている

2026年10月、文部科学省は「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」を公表しました。

現在の教育政策の議論でも、情報活用能力の向上や、生成AIを含むデジタル技術とどのようにつきあっていくかが大きなテーマになっています。

また文部科学省の生成AIに関するガイドラインでは、AIにすべてを委ねるのではなく、子ども自身の判断や考えを大切にすること、AIが出した情報をそのまま受け取るのではなく、深い理解や思考につなげることが重視されています。

生成AIを「使うか、使わないか」だけの問題ではありません。

これから問われるのは、「AIを使いながらも、自分の頭で考えることができるか」ということです。

これは学校だけの問題ではありません。

家庭での子どもとの関わり方にも、大きく関係しています。

「答えを知っていること」の価値がなくなるわけではない

AI時代というと、
「もう暗記はいらない」
「知識を覚える必要はない」
という話になることがあります。

しかし、これは少し違います。

自分の中に知識がなければ、AIが出した答えがおかしいことにも気づけません。

例えば生成AIが、もっともらしいけれど間違った情報を示したとします。

その分野について何も知らなければ、「AIが言っているから正しいんだろう」と、そのまま受け取ってしまうかもしれません。

一方で、自分の中に基礎知識や経験があれば、
「本当にそうなのかな?」
「前に聞いた話と違うな」
「別の情報も調べてみよう」
と考えることができます。

つまりAI時代に必要なのは、知識か、思考力か。どちらか一方ではありません。

知識を土台にしながら、自分で考え、判断し、活用する力です。

AI時代に子どもに育てたい5つの力

これからの子どもたちには、どんな力が必要なのでしょうか。

特に大切にしたいのは、次の5つです。

  1. 問いを持つ力
  2. 情報をそのまま信じず、確かめる力
  3. 自分の考えを持つ力
  4. 試行錯誤する力
  5. 自分で選び、決める力

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1|問いを持つ力

AIは質問すれば答えてくれます。

しかし、
「何を知りたいのか」
「何が分からないのか」
「なぜこうなるのか」
という問いそのものは、自分の中から生まれます。

子どもの「どうして?」「なんで?」「やってみたい!」は、学びの入り口です。

大人から見ると何気ない質問でも、その好奇心を大切にすることが、自分で学ぶ力につながります。

2|情報をそのまま信じず、確かめる力

インターネットにもSNSにも、生成AIにも、正しい情報だけがあるわけではありません。

これからは、
「これは誰が言っているの?」
「本当かな?」
「ほかの情報と比べるとどうだろう?」
と考える力が必要です。

情報をたくさん得る力以上に、情報を選び、比べ、判断する力が重要になります。

3|自分の考えを持つ力

AIに「どう思う?」と聞けば、いくらでも文章を作ってくれます。

だからこそ大切なのは、その前に「私はどう思うんだろう?」と考えることです。

上手な答えでなくても構いません。

「私はこう思う」
「私はこっちが好き」
「これはちょっと違う気がする」

そんな自分の感覚や考えを持つ経験が大切です。

4|試行錯誤する力

AIを使えば、最短距離で答えにたどり着ける場面は増えていきます。

けれど、子どもの成長にとって「遠回り」は決して無駄ではありません。

やってみる。
失敗する。
考える。
違う方法を試す。
もう一度やってみる。

この繰り返しの中で、「うまくいかないとき、どうすればいいか」を学んでいきます。

大人がすぐに正解を教えることも、AIですぐ答えを調べることもできます。

だからこそ、ときには「分からない時間」を残してあげることも必要なのです。

5|自分で選び、決める力

AIはいくつもの選択肢を示してくれます。

しかし、最後に「私はどうしたいのか」を決めるのは本人です。

好き。
嫌い。
やってみたい。
これは大切にしたい。

こうした感性や価値観は、子ども自身の経験の中で育っていきます。

教育の目的は、正しい選択だけを教えることではありません。

自分なりに考え、選び、その結果からまた学べる人を育てることも大切です。

生成AIを使うと、子どもの考える力は低下する?

「AIを使わせると、自分で考えなくなるのでは?」と心配する保護者の方もいるでしょう。

確かに、考える前からAIに答えを聞き、その答えをそのまま使うことが習慣になれば、自分で考える機会は減ってしまいます。

しかし、AIそのものが子どもの思考力を奪うというより、「どのように使うか」が重要です。

AI時代の子どもとAIの上手なつきあい方のイメージ。ノートに自分の考えを書いてから、タブレットのAIと比べる子ども

例えば宿題なら、いきなりAIに「答えを教えて」と聞くのではなく、次のような順番で使ってみます。

  1. まず自分で考えてみる
  2. AIに「私はこう考えたけれど、ほかの考え方はある?」と聞いてみる
  3. AIの答えと自分の答えを比べる
  4. 「どうして違ったんだろう?」と考えてみる

こうすると、AIは「答えを代わりに出す道具」ではなく、考えを広げるための道具になります。

AIを使うか、使わないかではなく、どう使うか。

子どもの年齢や発達段階によっては、生成AIを直接使わせることに慎重さも必要です。

特に幼い子どもには、まず現実の世界で見て、触れて、試して、感じる経験を十分に積ませることが大切です。

家庭でできる「AI時代の考える力」の育て方

特別な教材がなくても、考える力は日常生活の中で育てられます。

例えば、日常のこんな場面で声かけを少し変えてみましょう。

  • 子どもが質問をしてきたとき:すぐに答えを教える前に「どうしてだと思う?」
  • 何かに失敗したとき:「だから言ったでしょ」ではなく「次はどうしてみる?」
  • 子どもが何かを選ぶ場面:大人が決めてしまう前に「あなたはどうしたい?」

これだけでも、子どもが自分の頭を使う時間は増えていきます。

また、AIやインターネットで調べたあとには、
「これ、本当かな?」
「ほかにはどんな意見があるかな?」
「あなたはどう思う?」
と一言加えてみるのもよいでしょう。

大人が答えを全部用意しない。
分からないことを一緒に面白がる。

その姿勢こそが、AI時代の家庭教育ではますます大切になっていくのではないでしょうか。

待つことや問いかけることなど、子どもの考える力を伸ばす関わり方については、子どもの「考える力」を育てるには?できることを増やすだけが教育のゴールではない理由でも詳しくご紹介しています。

幼児期こそ「五感で学ぶ経験」を大切にしたい

AI時代だからこそ、幼児期にはデジタルだけでは得られない体験も大切にしたいものです。

幼児期の五感で学ぶ体験のイメージ。外で土にふれ、木の実やてんとう虫を観察する子ども

例えば、こんな体験です。

  • 土を触る
  • 水の冷たさを感じる
  • 木の実を拾う
  • 料理の匂いを嗅ぐ
  • 音楽を聴いて体を動かす
  • 積み木を何度も崩す
  • 虫をじっと観察する
  • 絵を描く
  • 何かを作る

こうした体験では、見る・聞く・触る・感じる・想像する・考える・試すといった、さまざまな働きが同時に使われています。

子どもにとっては、これらすべてが学びです。

画面の中で答えを知ることと、自分で触って「なんだろう?」と感じることは違います。

幼児期にたくさんの体験をし、「面白い」「どうして?」「もう一回やりたい」という感情が動くこと。

この好奇心こそ、その後の自発的な学びにつながっていきます。

AI時代だからこそ、非認知能力が重要になる

これからますます重要になるのが、テストの点数だけでは測りにくい「非認知能力」です。

  • 好奇心
  • 主体性
  • 粘り強さ
  • 自己肯定感
  • 挑戦する力
  • 人と協力する力
  • 感情を調整する力
  • 失敗から立ち直る力

こうした力は、AIが代わりに身につけてくれるものではありません。

例えば、AIが素晴らしい学習計画を作ってくれたとしても、実際にやってみようと思うのは本人です。

途中でうまくいかなかったとき、もう一度挑戦するのも本人です。

人と意見が違ったとき、相手の気持ちを考えながら話し合うのも本人です。

技術が進化すればするほど、人間だからこそ育てたい力が、よりはっきり見えてくるのかもしれません。

非認知能力が学力や将来とどう関わるのかは、非認知能力はなぜ必要?学力との関係と将来への影響について!で解説しています。

JUNKKが大切にするのは「答えを教える教育」だけではありません

JUNKKでは、教育を「できることを増やすこと」だけで捉えていません。

知識や技能はもちろん大切です。

その一方で、

  • 感性
  • イメージする力
  • 好奇心
  • 集中する力
  • 考える力
  • 試行錯誤する力
  • 自己肯定感
  • 人を思いやる力
  • 自分で選び、進んでいく力

こうした、その子の人生を支える土台も大切にしています。

大人が外からすべてを与えるのではなく、子どもの中にもともとある「知りたい」「やってみたい」「できるようになりたい」という力を引き出していく。

子どもが困ったときも、すぐにすべてを解決してあげるのではなく、必要なところを支えながら、自分で考える余白を残していく。

AI時代になっても、この教育の本質は変わらないと私たちは考えています。

AI時代の教育で大切なのは「AIに負けない子」を育てることではない

AIが人間より速くできることは、これからますます増えていくでしょう。

だからといって、「AIに負けない能力を身につけさせなければ」と焦る必要はないと思います。

AIと競争するのではなく、AIを使いながら、

自分は何を知りたいのか。
何を大切にしたいのか。
どう考えるのか。
何を選ぶのか。
そして、どんな人生を歩んでいきたいのか。

それを自分で考えられる人を育てること。

それこそが、これからの教育で大切になるのではないでしょうか。

答えを早く出せることだけが、賢さではありません。

分からないことを面白がる。
自分で考える。
失敗しても、また試してみる。
人の意見を聞きながら、自分の考えも持つ。
そして、自分の力で学び続ける。

AI時代だからこそ、そんな子どもたちを育てていきたいと思います。

JUNKKの教育についてもっと知りたい方へ

JUNKKでは、右脳教育を軸に、知識や学力だけではなく、子どもの感性・イメージ・好奇心・記憶・自己肯定感・非認知能力など、その子が生涯にわたって伸び続けるための土台を育てる教育を大切にしています。

子どもに「何を教えるか」だけではなく、「どんな力を育てていくのか」。

これからの教育や子育てについて、一緒に考えてみませんか。

参考資料

監修

代表理事
佐々木知香

略歴

2017年 本田右志理事長より右脳記憶教育講座を指南、「JUNKK認定マスター講師」取得
2018年 幼児教室アップルキッズをリビングサロンとして開講
2020年 佐々木進学教室Tokiwaみらい内へ移転、「佐々木進学教室幼児部」として再スタート
2025年 一般社団法人 日本右脳記憶教育協会(JUNKK)代表理事に就任
塾講師として中高生の学習指導に長年携わる中で、幼児期・小学校期の「学びの土台づくり」の重要性を痛感。
結婚を機に地方へ移住後、教育情報や環境の地域間格差を実感し、「地域に根差した実践の場をつくりたい」との想いから、幼児教室アップルキッズを開校。
発達障害や不登校の支援、放課後等デイサービスでの指導、子ども食堂での学習支援など、多様な子どもたちに寄り添う教育活動を展開中。